54Xe131.29

原子番号 54 · 貴ガス

キセノン Xe

別名: Xenon

キセノンは空気中にごく微量しか含まれない、重く無色の貴ガスです。貴ガスは決して化合物をつくらないという思い込みを打ち砕いた元素として有名です。まばゆいアークランプ、宇宙機のイオンエンジン、麻酔、暗黒物質の検出器など、変わった用途で活躍しています。

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主な性質

原子番号54
原子量131.29 (CIAAW 2024 簡略標準原子量)
分類貴ガス
18
周期5
ブロックp
状態(25 °C・1 atm)気体
融点161.36 K (-111.8 °C)
沸点165.03 K (-108.1 °C)
密度0.005887 g/cm³
電気陰性度(ポーリング)2.6
原子半径(ファンデルワールス)216 pm
第一イオン化エネルギー12.13 eV
電子親和力
酸化数0
発見1898

電子配置

簡略表記
[Kr]5s2 4d10 5p6
完全表記
1s2 2s2 2p6 3s2 3p6 3d10 4s2 4p6 4d10 5s2 5p6
電子殻ごとの電子数
2 · 8 · 18 · 18 · 8

軌道図(ボックス図)

1s2↑↓
2s2↑↓
2p6↑↓↑↓↑↓
3s2↑↓
3p6↑↓↑↓↑↓
3d10↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓
4s2↑↓
4p6↑↓↑↓↑↓
4d10↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓
5s2↑↓
5p6↑↓↑↓↑↓

周期表での位置

発見の歴史

1898年、ウィリアム・ラムゼーとモリス・トラバースは液体空気からクリプトンを分離したあと、そのクリプトンをさらに分留して、より重い成分を見つけました。そのスペクトルには新しい青い線が現れ、2人は新元素を発表しました。これはその年に彼らが発見した貴ガスの最後のものでした。

その後60年以上にわたり、貴ガスはまったく反応しないと考えられていました。1962年、ブリティッシュコロンビア大学のニール・バートレットは、強力な酸化剤である六フッ化白金が酸素分子からさえ電子を奪えることに気づきました。キセノンのイオン化エネルギーはそれに近いため、彼は同じ反応をキセノンで試しました。

その結果得られた橙黄色の固体が、最初の貴ガス化合物でした。まもなく二フッ化キセノン、四フッ化キセノンなどの化合物が続き、化学の教科書は書き換えを迫られました。

名前の由来

名前はギリシャ語で「見知らぬもの」「よそ者」を意味する xenos に由来します。元素記号は Xe です。

主な用途

  • 照明: キセノンアークランプは、映画の映写機、ソーラーシミュレーター、自動車のHIDヘッドライト、カメラのフラッシュに使われる、強烈で昼光に近い白色光を出します。
  • 宇宙推進: 重くてイオン化しやすいキセノンは、NASAの小惑星帯探査機ドーンなど、人工衛星や探査機の多くのイオンエンジンの推進剤です(日本の「はやぶさ」のイオンエンジンもキセノンを使いました)。
  • 医療: キセノンは副作用の少ない有効な全身麻酔薬ですが、費用が高いため使用は限られています。超偏極キセノン129は肺のMRI研究に使われています。
  • 半導体とレーザー: 塩化キセノンエキシマレーザーやチップのエッチング工程でキセノンが使われます。
  • 基礎物理学: 何トンもの液体キセノンを満たした検出器が暗黒物質の粒子を探しています。

同位体

天然のキセノンには9つの同位体があり、最も多いのはキセノン132とキセノン129です。キセノン124とキセノン136はきわめてゆっくり崩壊します。キセノン124の二重電子捕獲は2019年にXENON1T実験で直接観測され、その半減期は約1.8 × 10²²年でした。

半減期約9時間の放射性キセノン135は中性子を貪欲に吸収し、原子炉の出力を抑える「キセノン毒作用」を起こします。キセノン133(半減期約5日)は肺換気シンチグラフィーに使われます。

身近なところで

空気中のキセノンは約0.09 ppmしかないため、少量を得るにも空気分離プラントで膨大な量の空気を処理する必要があり、最も高価な貴ガスの一つです。

毒性はありませんが、空気よりはるかに重いため、狭い空間で漏れると床付近にたまって酸素を押しのけることがあります。キセノンを吸うとヘリウムとは逆に声が低くなりますが、窒息の危険があるので試してはいけません。

豆知識

  • キセノンは、化合物をつくった最初の貴ガスです。
  • キセノン124の崩壊は、これまで直接観測された中で最も遅い過程の一つです。
  • キセノン毒作用は、チェルノブイリ事故に先立つ原子炉の不安定なふるまいの一因となりました。

同じ族 (18)

データの出典 · 性質: PubChem Periodic Table(米国 NIH/NLM 公開データ)・原子量: CIAAW 2024 簡略標準原子量・名称: Wikidata(CC0)、韓国語名は大韓化学会の表記に準拠。2026-09-23 取得。