64Gd157.25

原子番号 64 · ランタノイド

ガドリニウム Gd

別名: Gadolinium

ガドリニウム(Gd、64番元素)は、室温付近で磁性がオンとオフに切り替わるランタノイド金属です。不対電子を多く持つため強い磁性を示し、ガドリニウム化合物がMRI検査の標準的な造影剤になっているのはこのためです。また、その同位体の一つは、安定な核種の中で最もよく中性子を吸収します。

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主な性質

原子番号64
原子量157.25 (CIAAW 2024 簡略標準原子量)
分類ランタノイド
ランタノイド・アクチノイド(族番号なし)
周期6
ブロックf
状態(25 °C・1 atm)固体
融点1586 K (1312.8 °C)
沸点3546 K (3272.8 °C)
密度7.9 g/cm³
電気陰性度(ポーリング)1.2
原子半径(ファンデルワールス)237 pm
第一イオン化エネルギー6.15 eV
電子親和力
酸化数+3
発見1880

電子配置

簡略表記
[Xe]6s2 4f7 5d1
完全表記
1s2 2s2 2p6 3s2 3p6 3d10 4s2 4p6 4d10 4f7 5s2 5p6 5d1 6s2
電子殻ごとの電子数
2 · 8 · 18 · 25 · 9 · 2

軌道図(ボックス図)

1s2↑↓
2s2↑↓
2p6↑↓↑↓↑↓
3s2↑↓
3p6↑↓↑↓↑↓
3d10↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓
4s2↑↓
4p6↑↓↑↓↑↓
4d10↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓
4f7
5s2↑↓
5p6↑↓↑↓↑↓
5d1
6s2↑↓

周期表での位置

発見の歴史

1880年、スイスの化学者ジャン・シャルル・ガリサール・ド・マリニャックは、ガドリン石などの鉱物から得た希土類酸化物に、新元素のスペクトル上の証拠を見つけました。1886年、フランスのポール=エミール・ルコック・ド・ボアボードランがその酸化物をさらに精製し、元素に名前を与えました。

純粋な金属ガドリニウムが手に入るようになったのは20世紀になってからです。1930年代の研究で、ガドリニウムが約20 °C(293 K)以下で強磁性になることが示されました。元素の中でこの性質を示すのは、ほかには主に鉄、コバルト、ニッケルだけです。

名前の由来

この元素は鉱物ガドリン石にちなんで名づけられ、その鉱物名はフィンランドの化学者ヨハン・ガドリンをたたえたものです。ガドリンは1794年、スウェーデンのイッテルビーで見つかった鉱物から最初の希土類酸化物イットリアを単離し、しばしば希土類化学の父と呼ばれています。

主な用途

  • MRI造影: キレート分子で包んだガドリニウムイオンを血液中に注射すると、周りの水の磁気緩和が変わり、血管や腫瘍が浮かび上がります。
  • 原子力工学: ガドリニウム157は、安定な核種の中で最大の熱中性子捕獲断面積を持っています。酸化ガドリニウムは「可燃性毒物」として一部の燃料に混ぜられ、燃焼初期の反応度を抑えます。
  • 中性子検出: 日本のスーパーカミオカンデ検出器は、中性子をより効率よく捕らえるため、水にガドリニウム化合物を溶かしました。
  • 磁気冷凍: 磁気熱量効果が大きいため、従来の冷媒ガスを使わない冷凍技術のモデル材料になっています。

同位体

天然のガドリニウムには7つの同位体が含まれます。ガドリニウム152は放射性で半減期が非常に長く、残りは安定です。中性子の吸収の大部分はガドリニウム155とガドリニウム157が担っています。人工のガドリニウム153は半減期が約240日で、骨密度測定装置の線源として使われてきました。

身近なところで

造影剤を使ったMRI検査を受けたことがあれば、おそらくガドリニウムを注射されています。大部分は1日ほどで尿として排出されますが、重い腎臓病の人では、一部の造影剤と腎性全身性線維症というまれな病気との関連が指摘されているため、事前に腎機能が確認されます。繰り返し使ったあとに脳内に微量が残ることも研究で見つかっており、医師は診断上の価値がある場合にだけこれらの造影剤を使います。造影剤の使用については、必ず医療の専門家と相談して決めてください。

豆知識

  • ガドリニウムはキュリー点が室温に近いため、寒い日には磁石にくっつくのに、暑い日にはくっつかないことがあります。
  • ガドリニウム157は、安定な核種の中でどれよりも熱中性子を捕らえやすい性質を持っています。
  • ガドリニウム・ガリウム・ガーネットの結晶は、かつて磁気バブルメモリの基板に使われていました。

同じ分類 (ランタノイド)

データの出典 · 性質: PubChem Periodic Table(米国 NIH/NLM 公開データ)・原子量: CIAAW 2024 簡略標準原子量・名称: Wikidata(CC0)、韓国語名は大韓化学会の表記に準拠。2026-09-23 取得。