53I126.90

原子番号 53 · ハロゲン

ヨウ素 I

別名: Iodine

ヨウ素は暗い紫黒色の光沢を持つ固体のハロゲンで、温めると簡単に紫色の蒸気になります。甲状腺ホルモンをつくるのに欠かせず、消毒薬、X線造影剤、液晶画面の偏光フィルムに使われています。

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主な性質

原子番号53
原子量126.90 (CIAAW 2024 簡略標準原子量)
分類ハロゲン
17
周期5
ブロックp
状態(25 °C・1 atm)固体
融点386.85 K (113.7 °C)
沸点457.55 K (184.4 °C)
密度4.93 g/cm³
電気陰性度(ポーリング)2.66
原子半径(ファンデルワールス)198 pm
第一イオン化エネルギー10.451 eV
電子親和力3.059 eV
酸化数+7, +5, +1, -1
発見1811

電子配置

簡略表記
[Kr]5s2 4d10 5p5
完全表記
1s2 2s2 2p6 3s2 3p6 3d10 4s2 4p6 4d10 5s2 5p5
電子殻ごとの電子数
2 · 8 · 18 · 18 · 7

軌道図(ボックス図)

1s2↑↓
2s2↑↓
2p6↑↓↑↓↑↓
3s2↑↓
3p6↑↓↑↓↑↓
3d10↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓
4s2↑↓
4p6↑↓↑↓↑↓
4d10↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓
5s2↑↓
5p5↑↓↑↓

周期表での位置

発見の歴史

1811年、パリの硝石製造業者ベルナール・クールトワは、ナポレオン戦争で需要の大きかった火薬に必要な硝酸塩をつくるため、海藻灰を処理していました。

灰の溶液に濃硫酸を加えたところ、紫色の蒸気が立ちのぼり、冷たい面に触れて黒っぽい結晶になりました。クールトワはほかの化学者に試料を分け与え、1813年にジョゼフ・ルイ・ゲイ=リュサックと、それとは独立にイギリスの化学者ハンフリー・デービーが、新元素であることを確かめました。

1920年代、スイスとアメリカが食塩にヨウ素を加え始めると、ヨウ素欠乏による甲状腺腫は劇的に減りました。食塩のヨウ素添加は現在、歴史上最も成功した公衆衛生対策の一つとされています。

名前の由来

名前は、その蒸気の色を表すギリシャ語の iodes(紫色の)に由来します。元素記号は I です。日本語の「ヨウ素」はドイツ語名 Jod の音に「沃」の字を当てた「沃素」に由来し、現在はかな書きが一般的です。

主な用途

  • 栄養: ヨウ素添加塩やサプリメントが、欠乏による甲状腺の病気を防ぎます。
  • 消毒: ポビドンヨードは手術前の皮膚の消毒や傷の洗浄に広く使われています。
  • 医療画像: ヨウ素を含む造影剤はX線を強く吸収し、CTや血管造影で血管や臓器を見えるようにします。
  • ディスプレイ: 液晶画面の偏光フィルムは、ヨウ素で染めたPVAフィルムからつくられます。
  • 化学工業: ヨウ素化合物は、酢酸をつくる触媒プロセスの助触媒として働きます。
  • 放射線緊急時: ヨウ化カリウムの錠剤は、原子力事故のあと甲状腺が放射性ヨウ素を取り込むのを防ぎますが、服用は当局の指示があったときに限るべきです。

同位体

ヨウ素の安定同位体はヨウ素127ただ一つです。放射性のヨウ素131は半減期が約8日で、甲状腺機能亢進症や甲状腺がんの治療に使われますが、甲状腺に集まるため、原子力事故のあとには大きな脅威になります。ヨウ素123(半減期約13時間)は画像診断に、ヨウ素125(約60日)は小線源治療用のシードに使われます。ヨウ素129の半減期は約1,570万年です。

身近なところで

ヨウ素の大部分は、チリの硝石鉱床と日本の天然ガスかん水から得られます(日本は世界有数のヨウ素生産国で、特に千葉県が知られています)。海水のヨウ素は海藻に濃縮されるため、昆布などの海藻はヨウ素を非常に多く含みます。韓国や日本のように海藻をよく食べる国では、欠乏よりもとりすぎのほうが心配になることもあります。

デンプンにヨウ素液を加えると濃い青紫色になるのは、学校でおなじみの実験です。固体のヨウ素やその蒸気は皮膚や目を刺激するため、触れたり吸い込んだりしないようにします。

豆知識

  • ヨウ素は、燃やした海藻の灰の中から偶然発見されました。
  • ヨウ素は常圧で、融ける前から目に見えて昇華します。
  • ヨウ素添加塩は、ヨウ素欠乏による知的障害を数えきれないほど防いできました。

同じ族 (17)

データの出典 · 性質: PubChem Periodic Table(米国 NIH/NLM 公開データ)・原子量: CIAAW 2024 簡略標準原子量・名称: Wikidata(CC0)、韓国語名は大韓化学会の表記に準拠。2026-09-23 取得。