原子番号 11 · アルカリ金属
ナトリウム Na
別名: Sodium
ナトリウムはやわらかい銀白色のアルカリ金属で、反応性が非常に高いため、自然界で単体として見つかることはありません。塩素と結びつけばおなじみの食塩になり、ナトリウムイオンは人体のあらゆる神経の信号や心臓の拍動に欠かせません。
主な性質
| 原子番号 | 11 |
|---|---|
| 原子量 | 22.990 (CIAAW 2024 簡略標準原子量) |
| 分類 | アルカリ金属 |
| 族 | 1 |
| 周期 | 3 |
| ブロック | s |
| 状態(25 °C・1 atm) | 固体 |
| 融点 | 370.95 K (97.8 °C) |
| 沸点 | 1156 K (882.9 °C) |
| 密度 | 0.97 g/cm³ |
| 電気陰性度(ポーリング) | 0.93 |
| 原子半径(ファンデルワールス) | 227 pm |
| 第一イオン化エネルギー | 5.139 eV |
| 電子親和力 | 0.548 eV |
| 酸化数 | +1 |
| 発見 | 1807 |
電子配置
- 簡略表記
- [Ne]3s1
- 完全表記
- 1s2 2s2 2p6 3s1
- 電子殻ごとの電子数
- 2 · 8 · 1
軌道図(ボックス図)
周期表での位置
発見の歴史
ナトリウムの化合物は数千年前から知られていました。古代エジプト人は乾いた湖の底から、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの天然の混合物であるナトロンを集め、洗浄やミイラづくりに使いました。塩は古代世界の各地で取引され、課税され、食品の保存に使われました。しかし化学者はこれらの化合物を分解できず、ソーダそのものが元素だと考える人も多くいました。
1807年、イギリスの化学者 ハンフリー・デービー は、発明されたばかりの初期の電池であるボルタ電堆を使い、融解した水酸化ナトリウムに強い電流を流しました。すると陰極に光り輝く金属の粒が現れました。そのわずか数日前、彼は同じ方法でカリウムを単離していました。この2つの発見は、ほかのどんな方法でも分解できなかった化合物を電気分解が分解できることを示したのです。
名前の由来
デービーはこの金属を、原料となったナトリウム化合物である ソーダ(soda)にちなんで sodium と名づけました。元素記号 Na は、ナトロンに由来するラテン語 natrium から来ています。この名前はドイツ語圏で使われ、ベルセリウスが元素記号に採用しました。日本語の「ナトリウム」はドイツ語名 Natrium をそのまま取り入れたものです。
主な用途
- 化学品: 塩化ナトリウムは、生産量が最大級の工業薬品である水酸化ナトリウムと塩素の原料です。
- ガラスとせっけん: 炭酸ナトリウム(ソーダ灰)はガラスづくりや洗剤の重要な原料です。
- 食品: 塩は食べ物に味をつけて保存し、炭酸水素ナトリウムはベーキングソーダ(重曹)です。
- 照明: ナトリウムランプの街灯は特有の黄橙色の光を放ち、かつてはとても一般的でした。
- エネルギー: 一部の高速炉では液体ナトリウムが熱を運び、ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池より安価な代替として開発が進んでいます。
- 融雪: 岩塩は冬の道路の凍結を防ぎます。
同位体
ナトリウムの安定同位体は ナトリウム23 ただ一つです。放射性同位体のうち、ナトリウム22(半減期約2.6年)は陽電子を放出し、実験室の陽電子源や校正用の標準線源として使われます。ナトリウム24(半減期約15時間)は工業や医学研究でトレーサーとして使われます。高速炉でナトリウムを冷却材に使うと、ナトリウム23の一部が中性子を捕らえてナトリウム24になります。冷却材を厳重に遮蔽するのはこのためでもあります。
身近なところで
ナトリウムイオンは体液のバランスを調節し、細胞膜を通って移動することで神経細胞が信号を発するのを可能にしています。多くの人は、主に加工食品から、必要量をはるかに超えるナトリウムをとっており、とりすぎは高血圧と関連しています。世界保健機関(WHO)は、成人のナトリウム摂取量を1日2グラム未満、食塩にしておよそ5グラム未満にするよう勧めています。
金属ナトリウムそのものは水と激しく反応して、発火しうる水素を発生させるため、油の中に保管されます。
豆知識
- 金属ナトリウムは約371 K(98 °C)で融け、水の沸点より低い温度です。
- 塩をふりかけた炎が黄色くなるのは、589 nm付近にある2本の近接したナトリウムの輝線によるものです。
- ナトリウムはバターナイフで切れるほどやわらかく、切り口の輝く面は空気中ですぐに曇ります。
同じ族 (1)
データの出典 · 性質: PubChem Periodic Table(米国 NIH/NLM 公開データ)・原子量: CIAAW 2024 簡略標準原子量・名称: Wikidata(CC0)、韓国語名は大韓化学会の表記に準拠。2026-09-23 取得。