43Tc[97]

原子番号 43 · 遷移金属

テクネチウム Tc

別名: Technetium

テクネチウムは人工的につくられた最初の元素です。安定同位体を持たないため、地球上に天然に存在するのはごく微量だけです。それでも同位体のテクネチウム99mは医療で最も広く使われている放射性トレーサーで、毎年数千万件もの画像診断を可能にしています。

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主な性質

原子番号43
原子量[97] (安定同位体がないため、代表的な同位体の質量数を角かっこで表示)
分類遷移金属
7
周期5
ブロックd
状態(25 °C・1 atm)固体
融点2430 K (2156.8 °C)
沸点4538 K (4264.9 °C)
密度11 g/cm³
電気陰性度(ポーリング)1.9
原子半径(ファンデルワールス)209 pm
第一イオン化エネルギー7.28 eV
電子親和力0.55 eV
酸化数+7, +6, +4
発見1937

電子配置

簡略表記
[Kr]5s2 4d5
完全表記
1s2 2s2 2p6 3s2 3p6 3d10 4s2 4p6 4d5 5s2
電子殻ごとの電子数
2 · 8 · 18 · 13 · 2

軌道図(ボックス図)

1s2↑↓
2s2↑↓
2p6↑↓↑↓↑↓
3s2↑↓
3p6↑↓↑↓↑↓
3d10↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓
4s2↑↓
4p6↑↓↑↓↑↓
4d5
5s2↑↓

周期表での位置

発見の歴史

メンデレーエフはマンガンの下に「エカマンガン」のための空欄を残し、化学者たちは半世紀以上も鉱物の中にそれを探し求めました。1925年、ヴァルター・ノダック、イダ・タッケ、オットー・ベルクはX線分光法でこれを見つけたと報告してマスリウムと名づけましたが、ほかの研究者は結果を再現できず、主張は認められませんでした。

1937年、パレルモ大学のエミリオ・セグレとカルロ・ペリエは、バークレーのアーネスト・ローレンスから送られてきたモリブデン箔を分析しました。この箔はサイクロトロンで重陽子を照射されたもので、2人の化学者はそこから43番元素の放射性同位体を分離しました。

1952年、アメリカの天文学者ポール・メリルは、ある種の赤色巨星のスペクトルにテクネチウムの吸収線を検出しました。テクネチウムの半減期はそれらの恒星の年齢よりはるかに短いため、その存在は、重い元素が現在も恒星の内部でつくられていることを示していました。恒星内元素合成の理論を強く裏づける発見です。

名前の由来

名前はギリシャ語で「人工の」を意味する technetos に由来し、人類がつくった最初の元素であることをたたえています。1947年ごろに採用されました。元素記号は Tc です。

主な用途

  • 核医学: テクネチウム99mは約140 keVのガンマ線を1本だけ出し、半減期は約6時間なので、比較的少ない被ばく量で鮮明な画像が得られます。骨シンチグラフィー、心筋血流検査、甲状腺・腎臓・肺の画像診断に使われます。
  • 供給: 病院は、崩壊していくモリブデン99を収めた「テクネチウムジェネレーター」から、必要に応じてテクネチウム99mを取り出します。
  • 腐食研究: 過テクネチウム酸イオンはごく低濃度で鋼の腐食を抑えますが、放射性であるため閉鎖系に限られます。

同位体

テクネチウムは安定同位体を持たない最も軽い元素です。最も長寿命の同位体テクネチウム97とテクネチウム98の半減期はおよそ420万年で、そのため原子量はかっこ付きで[97]と示されます。

半減期約21万1,000年のテクネチウム99は、ウランの核分裂で大量に生じ、使用済み核燃料の長期的な懸念材料になっています。医療用のテクネチウム99mはテクネチウム99の励起状態で、ガンマ線を放出してふつうのテクネチウム99になります。

身近なところで

自然界では、テクネチウムはウラン鉱石中の自発核分裂によってごく微量できるだけなので、採掘することはできず、原子炉でつくられます。モリブデン99を生産する原子炉は世界でほんの数基しかなく、保守のための停止によって供給不足がたびたび起こり、病院の検査予定が乱れてきました。

テクネチウム99mはすぐに崩壊するため、放射能の大部分は1日以内に消え、多くは尿として体外に出ます。検査のあとに水分をたくさんとるよう患者に勧められることが多いのはこのためです。

豆知識

  • テクネチウムは、安定同位体を一つも持たない最も軽い元素です。
  • 赤色巨星でテクネチウムが見つかったことは、恒星が重い元素をつくり出していることの確認に役立ちました。
  • テクネチウム99mは毎年数千万件の医療検査に使われています。

同じ族 (7)

データの出典 · 性質: PubChem Periodic Table(米国 NIH/NLM 公開データ)・原子量: CIAAW 2024 簡略標準原子量・名称: Wikidata(CC0)、韓国語名は大韓化学会の表記に準拠。2026-09-23 取得。