原子番号 46 · 遷移金属
パラジウム Pd
別名: Palladium
パラジウムはやわらかい銀白色の白金族金属で、驚くべき特技を持っています。自身の体積の何百倍もの水素ガスを吸い込むことができるのです。最大の用途はガソリン車の排ガス浄化触媒で、化学合成で炭素と炭素の結合をつくる触媒としても主役級の存在です。
主な性質
| 原子番号 | 46 |
|---|---|
| 原子量 | 106.42 (CIAAW 2024 簡略標準原子量) |
| 分類 | 遷移金属 |
| 族 | 10 |
| 周期 | 5 |
| ブロック | d |
| 状態(25 °C・1 atm) | 固体 |
| 融点 | 1828.05 K (1554.9 °C) |
| 沸点 | 3236 K (2962.8 °C) |
| 密度 | 12 g/cm³ |
| 電気陰性度(ポーリング) | 2.2 |
| 原子半径(ファンデルワールス) | 202 pm |
| 第一イオン化エネルギー | 8.337 eV |
| 電子親和力 | 0.557 eV |
| 酸化数 | +3, +2 |
| 発見 | 1803 |
電子配置
- 簡略表記
- [Kr]4d10
- 完全表記
- 1s2 2s2 2p6 3s2 3p6 3d10 4s2 4p6 4d10
- 電子殻ごとの電子数
- 2 · 8 · 18 · 18
軌道図(ボックス図)
周期表での位置
発見の歴史
1802年、ウィリアム・ハイド・ウォラストンは南アメリカ産の白金鉱石を王水に溶かし、白金を分離して、残った溶液から新しい金属を回収しました。
彼はすぐには発表せず、1803年にロンドンの店を通じて「新しい銀」として匿名で試料を売り出させました。化学者リチャード・シュネヴィクスがそれを買い、白金と水銀の合金にすぎないと主張したため、公開の論争になりました。
ウォラストンは1805年に自分が発見者であることを明かし、この金属の性質を正式に記述しました。論争は収まり、パラジウムは本物の元素として認められました。
名前の由来
この元素は、1802年に発見された小惑星パラスにちなんで名づけられました。パラスの名はギリシャの知恵の女神パラス・アテナに由来します。当時は、新しく見つかった天体にちなんで元素を名づけるのが流行していました。元素記号は Pd です。
主な用途
- 排ガス浄化触媒: パラジウムは、ガソリン車の排気中の一酸化炭素や炭化水素を酸化するのに使われる主要な金属です。
- 有機合成: パラジウム触媒によるクロスカップリング反応は、医薬品、農薬、ディスプレイ材料の製造に欠かせません。リチャード・ヘック、根岸英一、鈴木章の3氏はその開発によって2010年のノーベル化学賞を共同受賞しました。
- 電子機器: パラジウムは積層セラミックコンデンサーの電極やコネクターのめっきに使われます。
- 歯科とアクセサリー: 歯科用合金(日本の「金パラ」など)、ホワイトゴールド、パラジウムのアクセサリーに使われます。
- 水素の精製: パラジウム膜は水素だけを通すため、非常に純度の高い水素が得られます。
同位体
天然のパラジウムには6つの安定同位体、パラジウム102、104、105、106、108、110があり、最も多いのはパラジウム106です。半減期約650万年の核分裂生成物パラジウム107は、隕石を通じて初期太陽系の出来事のタイミングを調べるのにも使われます。半減期約17日のパラジウム103は、前立腺がんなどの腫瘍に直接埋め込む小線源治療用のシードに使われます。
身近なところで
パラジウムの大部分はロシアと南アフリカで、多くはニッケルや白金の採掘の副産物として生産されます。自動車産業の需要によって価格が変動しやすく、金より高値で取引されたこともあります。
金属の毒性は低く腐食にも強いものの、ごく一部の人はパラジウム合金にアレルギーを示します。スマートフォンやノートパソコンには少量が含まれており、パラジウムは電子廃棄物からの「都市鉱山」の重要な回収対象です。
1989年、パラジウム電極を使った室温での「常温核融合」の主張が世界的な騒ぎを呼びましたが、ほかの研究所では再現できず、科学界には受け入れられませんでした。
豆知識
- 室温のパラジウムは、自身の体積のおよそ900倍の水素を吸収できます。
- パラジウムは白金族金属の中で融点も密度も最も低い金属です。
- ウォラストンは、自分が発見したと認める前にパラジウムを店で売っていました。
同じ族 (10)
データの出典 · 性質: PubChem Periodic Table(米国 NIH/NLM 公開データ)・原子量: CIAAW 2024 簡略標準原子量・名称: Wikidata(CC0)、韓国語名は大韓化学会の表記に準拠。2026-09-23 取得。