81Tl204.38

原子番号 81 · ポスト遷移金属

タリウム Tl

別名: Thallium

タリウム(Tl、81番元素)はナイフで切れるほどやわらかい灰白色の金属です。その化合物の多くは水に溶け、味もにおいもなく、しかも猛毒で、かつては殺鼠剤に使われていました。一方で、放射性のタリウム201は心臓への血流を画像化するのに役立ってきました。

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主な性質

原子番号81
原子量204.38 (CIAAW 2024 簡略標準原子量)
分類ポスト遷移金属
13
周期6
ブロックp
状態(25 °C・1 atm)固体
融点577 K (303.9 °C)
沸点1746 K (1472.8 °C)
密度11.8 g/cm³
電気陰性度(ポーリング)1.62
原子半径(ファンデルワールス)196 pm
第一イオン化エネルギー6.108 eV
電子親和力0.2 eV
酸化数+3, +1
発見1861

電子配置

簡略表記
[Xe]6s2 4f14 5d10 6p1
完全表記
1s2 2s2 2p6 3s2 3p6 3d10 4s2 4p6 4d10 4f14 5s2 5p6 5d10 6s2 6p1
電子殻ごとの電子数
2 · 8 · 18 · 32 · 18 · 3

軌道図(ボックス図)

1s2↑↓
2s2↑↓
2p6↑↓↑↓↑↓
3s2↑↓
3p6↑↓↑↓↑↓
3d10↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓
4s2↑↓
4p6↑↓↑↓↑↓
4d10↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓
4f14↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓
5s2↑↓
5p6↑↓↑↓↑↓
5d10↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓
6s2↑↓
6p1

周期表での位置

発見の歴史

1861年、イギリスのウィリアム・クルックスは、硫酸工場で出たセレンを含む残留物の炎のスペクトルを調べていて、既知のどの元素も出さないあざやかな緑色の線を見つけました。この発見は、新たに発明された分光法によって可能になったものです。

1862年、フランスのクロード=オーギュスト・ラミーが独立にタリウムを金属の塊として単離し、2人は先取権を争いました。今日では、発見者はクルックス、最初に金属を単離したのはラミーとされるのが一般的です。

名前の由来

名前は、スペクトルに現れたあざやかな緑色の線にちなみ、ギリシャ語で緑の若芽や小枝を意味する thallos に由来します。

主な用途

  • 核医学: タリウム201はカリウムとほぼ同じように心筋に取り込まれるため、運動前後の心筋血流検査で広く使われました。現在はテクネチウム99m製剤にほぼ置き換わっています。
  • 検出器と光学: タリウムを添加したヨウ化ナトリウム結晶はガンマ線検出器の古典的なシンチレーターで、タリウム化合物は高屈折率ガラスや赤外線光学部品に使われます。
  • 低温用温度計: 水銀・タリウム合金は約−58 °Cまで液体のままで、極地用の温度計に使われました。
  • かつての用途: 殺鼠剤やアリ用の殺虫剤、さらには脱毛剤にまで使われていましたが、多くの事故のあと、現在ではほとんどの国で禁止されています。

同位体

天然のタリウムには2つの安定同位体、タリウム203(約30%)とタリウム205(約70%)があります。医療用のタリウム201の半減期は約73時間です。半減期約3.8年のタリウム204は厚さ計に使われてきました。

身近なところで

タリウム中毒では一般に、腹痛と神経の障害が起こり、数週間後に髪が抜けます。味もにおいもないため歴史上の毒殺事件にも登場し、「毒殺者の毒」というあだ名がつきました。解毒剤は青色の顔料プルシアンブルーで、口から飲むと腸の中でタリウムと結びつき、体外への排出を助けます。アガサ・クリスティーは小説『蒼ざめた馬』でタリウム中毒をあまりに正確に描いたため、読者がそれをもとに実際の中毒事例に気づいたといわれています。今日一般の人がタリウムに接することはまれですが、古い農薬や試薬は専門の業者を通じて処分すべきです。

豆知識

  • タリウムは、スペクトルのあざやかな緑色の線にちなんで「緑の若芽」と名づけられました。
  • タリウム中毒の特徴は、曝露から数週間後に現れる脱毛です。
  • 画家の顔料であるプルシアンブルーが、タリウム中毒の解毒剤です。

同じ族 (13)

データの出典 · 性質: PubChem Periodic Table(米国 NIH/NLM 公開データ)・原子量: CIAAW 2024 簡略標準原子量・名称: Wikidata(CC0)、韓国語名は大韓化学会の表記に準拠。2026-09-23 取得。