原子番号 49 · ポスト遷移金属
インジウム In
別名: Indium
インジウムは爪で傷がつくほどやわらかい銀白色の金属です。酸化インジウムスズ(ITO)の主成分として、スマートフォンのタッチスクリーンや薄型ディスプレイの透明電極をひそかに可能にしてきました。半導体レーザーや低温はんだにも使われています。
主な性質
| 原子番号 | 49 |
|---|---|
| 原子量 | 114.82 (CIAAW 2024 簡略標準原子量) |
| 分類 | ポスト遷移金属 |
| 族 | 13 |
| 周期 | 5 |
| ブロック | p |
| 状態(25 °C・1 atm) | 固体 |
| 融点 | 429.75 K (156.6 °C) |
| 沸点 | 2345 K (2071.8 °C) |
| 密度 | 7.31 g/cm³ |
| 電気陰性度(ポーリング) | 1.78 |
| 原子半径(ファンデルワールス) | 193 pm |
| 第一イオン化エネルギー | 5.786 eV |
| 電子親和力 | 0.3 eV |
| 酸化数 | +3 |
| 発見 | 1863 |
電子配置
- 簡略表記
- [Kr]5s2 4d10 5p1
- 完全表記
- 1s2 2s2 2p6 3s2 3p6 3d10 4s2 4p6 4d10 5s2 5p1
- 電子殻ごとの電子数
- 2 · 8 · 18 · 18 · 3
軌道図(ボックス図)
周期表での位置
発見の歴史
1863年、ザクセン州のフライベルク鉱山アカデミーのフェルディナント・ライヒとヒエロニムス・テオドール・リヒターは、タリウムを探して亜鉛鉱石を分光器で調べていました。
ところが予想した輝線の代わりに、既知のどの元素にも属さないあざやかな藍色の線が現れました。ライヒは色覚に障害があったといわれ、分光観察の多くはリヒターが担当しました。この輝線を根拠に2人は新元素を発表し、のちに少量の金属を単離しました。
インジウムは長いあいだ、用途のほとんどない珍しい物質でした。20世紀後半に液晶ディスプレイが普及し、ITOが透明導電体の標準になると、需要は急増しました。
名前の由来
名前は、スペクトルに現れた藍色(インディゴ)の線にちなみます。インディゴはラテン語で「インドの」を意味する indicum に由来します。元素記号は In です。
主な用途
- 透明電極: 酸化インジウムスズは透明なまま電気を通すため、液晶や有機ELのディスプレイ、タッチスクリーン、一部の太陽電池に欠かせません。これがインジウム最大の用途です。
- 半導体: リン化インジウムやヒ化インジウムガリウムは光ファイバー通信用のレーザーや検出器に使われ、窒化インジウムガリウムは青色や緑色のLEDの光を生み出します。
- はんだと合金: インジウム合金は低温で融け、ガラスやセラミックスによくなじむため、低温はんだ、真空封止、熱伝導材料に使われます。
- 原子炉: 銀・インジウム・カドミウム合金が制御棒に使われます。
同位体
天然のインジウムは、安定なインジウム113(約4.3%)と放射性のインジウム115(約95.7%)からなります。インジウム115の半減期はおよそ4.4 × 10¹⁴年で、インジウムは最も多い同位体が放射性という珍しい元素の一つです。人工同位体のインジウム111は半減期が約2.8日で、白血球や標的分子に結合させて、核医学で感染症や神経内分泌腫瘍の場所を突き止めるのに使われます。
身近なところで
インジウムにはそれ自体の鉱山がほとんどなく、亜鉛製錬の副産物として回収されます。最大の生産国は中国で、大規模な亜鉛製錬所を持つ韓国も精製インジウムの主要な生産国です。
ほぼすべてのスマートフォンやテレビの画面の中に、インジウムの薄い膜が入っています。金属インジウムはふつうに触れる程度ではほとんど危険はありませんが、ITOの加工工場でインジウム化合物の粉じんを長期間吸い込んだ作業者に肺の病気が報告されており、粉じん対策が重要です。
豆知識
- スズと同じく、インジウムの棒を曲げるとかすかにきしむような「鳴き」が聞こえます。
- インジウムは約157 °Cで融けますが、沸騰するのは2,000 °Cを超えてからです。
- 純粋なインジウムをガラスにこすりつけると、薄くはりつく金属の膜が残ります。
同じ族 (13)
データの出典 · 性質: PubChem Periodic Table(米国 NIH/NLM 公開データ)・原子量: CIAAW 2024 簡略標準原子量・名称: Wikidata(CC0)、韓国語名は大韓化学会の表記に準拠。2026-09-23 取得。