33As74.922

原子番号 33 · 半金属

ヒ素 As

別名: Arsenic

ヒ素は金属のような外見をした灰色の半金属で、その名前は毒の代名詞になりました。しかし高速な半導体の材料であり、ある種の白血病に有効な治療薬のもとでもあります。今日、地下水中のヒ素は、世界で最も深刻な飲み水の化学的脅威の一つです。

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主な性質

原子番号33
原子量74.922 (CIAAW 2024 簡略標準原子量)
分類半金属
15
周期4
ブロックp
状態(25 °C・1 atm)固体
融点1090 K (816.9 °C) (1 atm で昇華)
沸点887 K (613.9 °C)
密度5.776 g/cm³
電気陰性度(ポーリング)2.18
原子半径(ファンデルワールス)185 pm
第一イオン化エネルギー9.815 eV
電子親和力0.81 eV
酸化数+5, +3, -3
発見古代

電子配置

簡略表記
[Ar]4s2 3d10 4p3
完全表記
1s2 2s2 2p6 3s2 3p6 3d10 4s2 4p3
電子殻ごとの電子数
2 · 8 · 18 · 5

軌道図(ボックス図)

1s2↑↓
2s2↑↓
2p6↑↓↑↓↑↓
3s2↑↓
3p6↑↓↑↓↑↓
3d10↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓
4s2↑↓
4p3

周期表での位置

発見の歴史

ヒ素化合物は古代から知られていました。黄色の雄黄と赤色の鶏冠石は顔料や薬として使われ、ギリシャやローマの文献にも登場します。13世紀ごろ、中世の学者アルベルトゥス・マグヌスがこの元素を単離したとよくいわれますが、誰が最初につくったのかははっきりしていません。

三酸化二ヒ素は無味無臭のため、中世から19世紀まで悪名高い毒物でした。1836年、イギリスの化学者ジェームズ・マーシュは、組織中のごく微量のヒ素を検出できるほど感度の高い検査法を考案しました。これは法医毒物学の画期的な出来事でした。

1910年、パウル・エールリヒは梅毒を治療するヒ素化合物サルバルサンを発表しました。特定の病原体を攻撃するよう設計された初の近代的な合成薬とされ、化学療法の時代を切り開きました(開発には秦佐八郎も大きく貢献しました)。

名前の由来

英語名は、ラテン語 arsenicum を経てギリシャ語 arsenikon にさかのぼります。これは一般に、黄色の鉱物・雄黄を指すペルシャ語 zarnikh と結びつけられています。元素記号 As はラテン語形に由来します。日本語の「ヒ素」はかつて「砒素」と書かれ、ヒ素を含む鉱物「砒石」の「砒」の字から来ています。

主な用途

  • 半導体: ヒ化ガリウムやヒ化インジウムガリウムは高周波チップ、レーザーダイオード、赤外線デバイスに使われ、ヒ素はシリコンの一般的なn型ドーパントです。
  • 合金: 少量加えると鉛が硬くなり、かつては電池の格子や散弾に使われました。
  • 医療: 三酸化二ヒ素は急性前骨髄球性白血病(APL)の標準的な治療薬です。
  • 木材保存: クロム銅ヒ素系防腐剤(CCA)は何十年も木材を守ってきましたが、現在では多くの国で住宅用途が制限されています。

同位体

ヒ素の安定同位体はヒ素75ただ一つなので、天然のヒ素は単一の同位体からなり、その原子量は非常に精密にわかっています。いくつかの放射性同位体を人工的につくることはできますが、研究用トレーサー以外の身近な用途はほとんどありません。

身近なところで

ヒ素は岩石から地下水へ自然に溶け出します。バングラデシュと西ベンガルでは管井戸の汚染によって数千万人が曝露し、しばしば歴史上最大規模の集団中毒の一つといわれます。世界保健機関は飲料水のガイドライン値を1リットルあたり10マイクログラムとしています。

稲は水を張った田んぼからほかの多くの作物よりヒ素を取り込みやすいため、米製品には少量のヒ素が含まれます。米をよく洗い、たっぷりの水で炊くと多少減らせます。魚介類や海藻に含まれるヒ素の大部分は、毒性がはるかに低い有機ヒ素です。

19世紀には、シェーレグリーンやパリグリーンなどヒ素系の緑色顔料が壁紙や布地、さらには菓子まで彩っており、多くの健康被害の原因と考えられています。

豆知識

  • 常圧では灰色ヒ素は融けず、約615 °Cで直接気体に昇華します。
  • 加熱したヒ素はニンニクを思わせるにおいを出します。
  • 融点(約1,090 K)が昇華点より高いため、液体のヒ素は加圧下でしか存在しません。

同じ族 (15)

データの出典 · 性質: PubChem Periodic Table(米国 NIH/NLM 公開データ)・原子量: CIAAW 2024 簡略標準原子量・名称: Wikidata(CC0)、韓国語名は大韓化学会の表記に準拠。2026-09-23 取得。