原子番号 9 · ハロゲン
フッ素 F
別名: Fluorine
フッ素は淡い黄色の気体で、すべての元素の中で最も反応性が高く、ほとんどあらゆるもの、一部の貴ガスとさえ結合できます。フッ化物やフッ素化合物のかたちに手なずけられると、歯を守り、焦げつかないコーティングをつくり、多くの現代の医薬品にも含まれるようになります。
主な性質
| 原子番号 | 9 |
|---|---|
| 原子量 | 18.998 (CIAAW 2024 簡略標準原子量) |
| 分類 | ハロゲン |
| 族 | 17 |
| 周期 | 2 |
| ブロック | p |
| 状態(25 °C・1 atm) | 気体 |
| 融点 | 53.53 K (-219.6 °C) |
| 沸点 | 85.03 K (-188.1 °C) |
| 密度 | 0.001696 g/cm³ |
| 電気陰性度(ポーリング) | 3.98 |
| 原子半径(ファンデルワールス) | 135 pm |
| 第一イオン化エネルギー | 17.423 eV |
| 電子親和力 | 3.339 eV |
| 酸化数 | -1 |
| 発見 | 1886 |
電子配置
- 簡略表記
- [He]2s2 2p5
- 完全表記
- 1s2 2s2 2p5
- 電子殻ごとの電子数
- 2 · 7
軌道図(ボックス図)
周期表での位置
発見の歴史
鉱物の蛍石(フッ化カルシウム)は、早くも16世紀には金属製錬の融剤として使われていました。1529年にはゲオルギウス・アグリコラがこれについて記述しています。1770年代、カール・ヴィルヘルム・シェーレは蛍石を酸で処理して、ガラスを侵すフッ化水素酸をつくりました。19世紀初めには、アンドレ=マリ・アンペールやハンフリー・デービーら化学者が、この酸には塩素に似た未知の元素が含まれていると考えるようになりました。
しかし、その単離は非常に難しく、しかも危険でした。この元素はどんな容器も侵し、フッ化水素の蒸気で何人もの研究者が負傷し、そのせいで亡くなった人もいたと伝えられています。ついに成功したのは 1886年6月26日 のことです。フランスの化学者 アンリ・モアッサン が、白金イリジウム製の装置を使い、低温で液体フッ化水素に溶かしたフッ化水素カリウムを電気分解しました。陽極に集まった気体はケイ素に火をつけました。彼は1906年にノーベル化学賞を受賞しています。
名前の由来
名前は 蛍石(fluorite)に由来し、その名前はラテン語で「流れる」を意味する fluere から来ています。この鉱物が炉の中で鉱石を溶かし、流れやすくするためです。蛍石の一部は紫外線を当てると光るため、同じ鉱物から「蛍光」(fluorescence)という言葉も生まれました。元素記号は F です。日本語の「フッ素」は、かつて「弗素」と書かれ、fluor の音「フル」に漢字「弗」を当てたものです。
主な用途
- 歯の健康: 歯磨き粉や、国によっては水道水に含まれるフッ化物が、歯のエナメル質をむし歯に強くします。
- 高分子: 1938年に偶然発見されたPTFE(テフロン)は、焦げつかない調理器具や薬品に強いシール材になります。
- 核燃料: 六フッ化ウランはウランの濃縮に使われる気体です。
- 医薬品と農薬: フッ素原子を加えると薬が体内で安定しやすくなることがあり、広く使われている医薬品の多くがフッ素を含みます。
- 冷却と電子工業: フッ素系冷媒、半導体製造用のエッチングガス、リチウムイオン電池の電解液に使われる六フッ化リン酸リチウムなど。
同位体
フッ素の安定同位体は フッ素19 ただ一つです。最も重要な放射性同位体は フッ素18 で、半減期は約 110分 です。糖の分子に結合させるとFDGになり、PET検査で最も広く使われるトレーサーになります。FDGは多くの腫瘍のようにブドウ糖を大量に消費する組織を浮かび上がらせます。半減期が短いため、病院の近くのサイクロトロンでつくる必要があります。
身近なところで
歯磨き粉に含まれる程度の低濃度のフッ化物は安全で有益ですが、大量に飲み込むと有害です。また子どもの時期に長期間とりすぎると、歯にかすかな白い斑点が出る歯のフッ素症を起こすことがあります。単体のフッ素ガスやフッ化水素酸はきわめて危険で、フッ化水素酸は皮膚を通り抜けて深部の組織を傷つけることがあります。
かつて冷蔵庫やスプレーに広く使われたクロロフルオロカーボン(フロン、CFC)はオゾン層を破壊したため、1987年のモントリオール議定書によって段階的に廃止されました。
豆知識
- フッ素は最も電気陰性度の高い元素で、共有電子をほかのどの元素よりも強く引きつけます。
- フッ素ガスを吹きつけると、ガラスや水、さらには一部の金属までが炎を上げて燃えだします。
- 一部のフッ素化合物は環境中で非常に分解されにくく、「永遠の化学物質」と呼ばれています。
同じ族 (17)
データの出典 · 性質: PubChem Periodic Table(米国 NIH/NLM 公開データ)・原子量: CIAAW 2024 簡略標準原子量・名称: Wikidata(CC0)、韓国語名は大韓化学会の表記に準拠。2026-09-23 取得。