原子番号 25 · 遷移金属
マンガン Mn
別名: Manganese
マンガンは硬くてもろい銀灰色の金属で、単体で使われることはまれですが、製鋼には欠かせません。生物にとっても必須の微量元素であり、光合成の中心ではマンガンのクラスターが水を分解して酸素を放出しています。
主な性質
| 原子番号 | 25 |
|---|---|
| 原子量 | 54.938 (CIAAW 2024 簡略標準原子量) |
| 分類 | 遷移金属 |
| 族 | 7 |
| 周期 | 4 |
| ブロック | d |
| 状態(25 °C・1 atm) | 固体 |
| 融点 | 1519 K (1245.8 °C) |
| 沸点 | 2334 K (2060.8 °C) |
| 密度 | 7.3 g/cm³ |
| 電気陰性度(ポーリング) | 1.55 |
| 原子半径(ファンデルワールス) | 197 pm |
| 第一イオン化エネルギー | 7.434 eV |
| 電子親和力 | — |
| 酸化数 | +7, +4, +3, +2 |
| 発見 | 1774 |
電子配置
- 簡略表記
- [Ar]4s2 3d5
- 完全表記
- 1s2 2s2 2p6 3s2 3p6 3d5 4s2
- 電子殻ごとの電子数
- 2 · 8 · 13 · 2
軌道図(ボックス図)
周期表での位置
発見の歴史
黒いマンガン酸化物は、先史時代の洞窟壁画に使われた顔料の一つでした。ずっとのちには、ガラス職人が溶けたガラスに鉱物の軟マンガン鉱(二酸化マンガン)を加え、鉄による緑がかった色を消していたため、「ガラス職人のせっけん」というあだ名がつきました。何世紀ものあいだ、軟マンガン鉱は磁鉄鉱やマグネシウムの鉱物と混同されていました。
1774年、スウェーデンの化学者 カール・ヴィルヘルム・シェーレ は、軟マンガン鉱に新しい元素が含まれていることを示しましたが、単離はできませんでした。同じ年、彼の友人 ヨハン・ゴットリーブ・ガーン がるつぼの中で二酸化マンガンを炭素とともに加熱し、金属を得ました。
工業面での決定的な一歩は19世紀に訪れました。製鋼業者が、マンガンが溶けた鋼から硫黄と酸素を取り除くことに気づいたのです。1882年にはイギリスの冶金学者ロバート・ハドフィールドが、マンガンを約12%含み、打撃を受けるほど硬くなる鋼を開発しました。これは今も鉄道の分岐器や岩石の破砕機に使われています。
名前の由来
名前は、軟マンガン鉱を指すラテン語 magnesia nigra(黒いマグネシア)にさかのぼります。この語自体はギリシャのマグネシア地方にちなんだものです。時代とともに manganesum などを経て manganese へと変化し、マグネシウム(magnesium)と区別しやすくなりました。元素記号は Mn です。
主な用途
- 鋼: マンガンの約9割は鋼に使われ、硫黄と酸素を取り除き、強度と硬さを高めます。
- アルミニウム合金: マンガンは飲料缶などのアルミニウムの耐食性と強度を向上させます。
- 電池: 二酸化マンガンは一般的なアルカリ乾電池やマンガン乾電池の正極材料で、いくつかのリチウムイオン電池の正極にもマンガンが使われています。
- 化学品: 過マンガン酸カリウムは強い酸化剤で、水処理や消毒に使われます。
同位体
マンガンの安定同位体は マンガン55 ただ一つです。放射性の マンガン53 は半減期が約370万年で、隕石中で宇宙線によってつくられ、そのクロム53への崩壊は初期太陽系の出来事の年代測定に役立ちます。マンガン54 は半減期が約312日で、トレーサーや校正に使われます。マンガン52はPET画像診断への応用が研究されています。
身近なところで
人の体は、骨の形成、代謝、抗酸化防御にかかわる酵素のために少量のマンガンを必要とします。ナッツ、全粒穀物、豆類、茶が豊富な供給源なので、欠乏はまれです。
鉱山労働者や溶接工などがマンガンの粉じんやヒュームを長期間吸い込むと、パーキンソン病に似た症状を示す神経系の障害 マンガン中毒 を起こすことがあるため、職場での曝露は制限されています。
豆知識
- 深海底の一部には、ジャガイモほどの大きさのマンガン団塊が膨大な数で転がっています。
- マンガンの融点は約1,519 K(1,246 °C)です。
- 植物は光合成で水を分解するのに、4個のマンガン原子と1個のカルシウム原子からなるクラスターを使っています。
同じ族 (7)
データの出典 · 性質: PubChem Periodic Table(米国 NIH/NLM 公開データ)・原子量: CIAAW 2024 簡略標準原子量・名称: Wikidata(CC0)、韓国語名は大韓化学会の表記に準拠。2026-09-23 取得。