原子番号 89 · アクチノイド
アクチニウム Ac
別名: Actinium
アクチニウム(Ac、89番元素)はアクチノイド系列(89番から103番の元素)の最初の元素で、系列の名前の由来になっています。放射能が非常に強いため暗闇で淡い青色に光る銀色の放射性金属です。アクチニウム225は近年、がん治療で最も求められる同位体の一つになりました。
主な性質
| 原子番号 | 89 |
|---|---|
| 原子量 | [227] (安定同位体がないため、代表的な同位体の質量数を角かっこで表示) |
| 分類 | アクチノイド |
| 族 | ランタノイド・アクチノイド(族番号なし) |
| 周期 | 7 |
| ブロック | f |
| 状態(25 °C・1 atm) | 固体 |
| 融点 | 1324 K (1050.8 °C) |
| 沸点 | 3471 K (3197.8 °C) |
| 密度 | 10.07 g/cm³ |
| 電気陰性度(ポーリング) | 1.1 |
| 原子半径(ファンデルワールス) | 260 pm |
| 第一イオン化エネルギー | 5.17 eV |
| 電子親和力 | — |
| 酸化数 | +3 |
| 発見 | 1899 |
電子配置
- 簡略表記
- [Rn]7s2 6d1
- 完全表記
- 1s2 2s2 2p6 3s2 3p6 3d10 4s2 4p6 4d10 4f14 5s2 5p6 5d10 6s2 6p6 6d1 7s2
- 電子殻ごとの電子数
- 2 · 8 · 18 · 32 · 18 · 9 · 2
軌道図(ボックス図)
周期表での位置
発見の歴史
1899年、フランスの化学者アンドレ=ルイ・ドビエルヌは、キュリー夫妻がラジウムを取り出したあとのピッチブレンドの残りかすから新しい放射性物質を見つけ、アクチニウムと名づけました。1902年には、ドイツのフリードリヒ・オスカー・ギーゼルが独立に似た物質を単離し、「エマニウム」と名づけました。
のちの分析で、ドビエルヌが最初に報告した性質はアクチニウムとよく一致しないことが示唆され、発見の功績はギーゼルにあると主張する科学史家もいます。それでもドビエルヌが先につけた名前が採用され、今も使われています。1950年代、原子炉でラジウム226に中性子を照射してミリグラム量のアクチニウムがつくられるようになり、ようやくその化学をきちんと研究できるようになりました。
名前の由来
名前は、その放射能を表し、ギリシャ語で「光線」を意味する aktis(属格 aktinos)に由来します。1940年代にグレン・シーボーグが提唱したアクチノイドの概念のもとで、89番から103番の元素はこの元素にちなんで名づけられています。
主な用途
- 標的アルファ線治療: 前立腺がんを探し当てる分子(PSMAリガンド)などに結合させたアクチニウム225は、標準治療が効かなくなった進行がんで目覚ましい結果を示しています。半減期は約10日で、1個の原子が崩壊系列を通じて4個のアルファ粒子を放出し、がん細胞に強力な線量を届けます。供給はきわめて限られているため、トリウム229からの抽出に加え、加速器を使った製造法が開発されています。
- 中性子源: ベリリウムと混ぜたアクチニウム227は、油井の検層などで中性子源として使われてきました。
- 熱源: アクチニウム227は、放射性同位体電源の熱源候補として研究されてきました。
同位体
アクチニウムの同位体はすべて放射性です。天然の主要な同位体アクチニウム227は半減期が約21.8年で、ウラン235の崩壊系列に現れます。医療用のアクチニウム225の半減期は約10日、トリウム系列のアクチニウム228は約6時間です。
身近なところで
ウラン鉱石1トンに含まれるアクチニウムは1ミリグラムにもはるかに満たないため、日常生活で出会うことはありません。化学的にはランタンによく似ており、3+のイオンになってランタン化合物とよく似たふるまいをします。放射能が強いため、遮蔽された専門施設でしか扱われません。
豆知識
- アクチノイド系列全体がアクチニウムにちなんで名づけられています。
- アクチニウムは自らの放射線によって暗闇で青く光ります。
- アクチニウム225の原子は、崩壊系列をたどるあいだに4個のアルファ粒子を放出します。
同じ分類 (アクチノイド)
データの出典 · 性質: PubChem Periodic Table(米国 NIH/NLM 公開データ)・原子量: CIAAW 2024 簡略標準原子量・名称: Wikidata(CC0)、韓国語名は大韓化学会の表記に準拠。2026-09-23 取得。