原子番号 93 · アクチノイド
ネプツニウム Np
別名: Neptunium
ネプツニウムは、ウランより重い元素として初めて確認された元素で、超ウラン元素の一族の第一号です。原子炉の中でウランが中性子を吸収すると生じ、使用済み燃料にキログラム単位でたまっていきます。直接の用途は多くありませんが、深宇宙探査機の電源となる熱源、プルトニウム238の原料になります。
主な性質
| 原子番号 | 93 |
|---|---|
| 原子量 | [237] (安定同位体がないため、代表的な同位体の質量数を角かっこで表示) |
| 分類 | アクチノイド |
| 族 | ランタノイド・アクチノイド(族番号なし) |
| 周期 | 7 |
| ブロック | f |
| 状態(25 °C・1 atm) | 固体 |
| 融点 | 917 K (643.9 °C) |
| 沸点 | 4175 K (3901.8 °C) |
| 密度 | 20.25 g/cm³ |
| 電気陰性度(ポーリング) | 1.36 |
| 原子半径(ファンデルワールス) | 221 pm |
| 第一イオン化エネルギー | 6.266 eV |
| 電子親和力 | — |
| 酸化数 | +6, +5, +4, +3 |
| 発見 | 1940 |
電子配置
- 簡略表記
- [Rn]7s2 5f4 6d1
- 完全表記
- 1s2 2s2 2p6 3s2 3p6 3d10 4s2 4p6 4d10 4f14 5s2 5p6 5d10 5f4 6s2 6p6 6d1 7s2
- 電子殻ごとの電子数
- 2 · 8 · 18 · 32 · 22 · 9 · 2
軌道図(ボックス図)
周期表での位置
発見の歴史
1930年代半ば、エンリコ・フェルミのグループはウランに中性子を照射し、93番元素を作ったと考えました。しかし実際にできていたものの大半は核分裂片で、この誤解は1938年に核分裂そのものが認識されて初めて解けました。
本物の93番元素は 1940年、カリフォルニア州バークレーの放射線研究所でエドウィン・マクミランとフィリップ・アベルソンによって確認されました。二人はサイクロトロンの中性子をウランに照射し、ウラン239のベータ崩壊から生じる、半減期約2.4日の新しい放射能を追跡しました。その化学的性質はウランとも、どの核分裂生成物とも一致しませんでした。これがネプツニウム239であり、周期表は初めてウランの先へと広がったのです。
マクミランは94番元素の探索にも取りかかりましたが、戦時中のレーダー研究に呼ばれ、グレン・シーボーグのチームが後を引き継ぎました。マクミランとシーボーグは、超ウラン元素の研究により1951年のノーベル化学賞を共同受賞しています。原子炉で絶えず生成されるため、ネプツニウムはのちにキログラム単位で入手できるようになりました。
名前の由来
ウランが天王星(Uranus)にちなんで名づけられていたので、その次の元素には太陽からさらに外側の惑星 海王星(Neptune) の名が与えられました。ネプチューンはローマ神話の海の神です。元素記号 Np は最初の2文字です。惑星の命名はプルトニウムへと続きます。
主な用途
- プルトニウム238の製造: ネプツニウム237を原子炉で照射すると、ネプツニウム238を経てプルトニウム238に変わります。その安定した崩壊熱は、太陽から遠く離れて飛ぶ宇宙機の放射性同位体熱電気転換器(RTG)の電源になります。
- 中性子の検出: ネプツニウム237は高速中性子が当たると核分裂するため、高エネルギー中性子束を測る検出器に使われます。
- 燃料サイクル研究: ネプツニウムは核廃棄物の長寿命成分の一つで、それを分離したり、先進的な原子炉で「燃やし」たりする方法が研究されています。
同位体
ネプツニウムには安定同位体がありません。最も寿命が長い ネプツニウム237 の半減期は約214万年で、地質学的な尺度では短いため、原始のネプツニウムはとうの昔に消え、それを出発点とする崩壊系列(ネプツニウム系列)は天然にはほぼ絶滅しています。最初に発見された ネプツニウム239 の半減期は約2.4日で、ベータ崩壊してプルトニウム239になります。原子炉がプルトニウムを増殖させる仕組みはまさにこれです。ウラン鉱石の中では、天然の中性子によってごく微量のネプツニウムが絶えず生成されています。
身近なところで
ネプツニウムは日常生活には関わりません。地球上にあるネプツニウムのほぼすべては、原子炉と20世紀の大気圏内核実験に由来します。アルファ線を出し、体内に取り込まれると骨や肝臓に蓄積するおそれがあるため、専門の施設でのみ扱われます。金属は非常に密度が高く、1立方センチメートルあたり約20グラムあります。
豆知識
- ネプツニウムは最初の超ウラン元素で、1940年にバークレーで確認されました。
- ネプツニウム237は高速中性子による連鎖反応を持続でき、むき出しの球なら数十キログラムで臨界に達します。
- ボイジャーやニューホライズンズなどの探査機に電力を送るプルトニウム238は、ネプツニウム237から作られます。
同じ分類 (アクチノイド)
データの出典 · 性質: PubChem Periodic Table(米国 NIH/NLM 公開データ)・原子量: CIAAW 2024 簡略標準原子量・名称: Wikidata(CC0)、韓国語名は大韓化学会の表記に準拠。2026-09-23 取得。