原子番号 50 · ポスト遷移金属
スズ Sn
別名: Tin
スズは銀色で腐食に強く、融点の低い金属です。銅と混ぜて青銅を生み、青銅器時代をもたらしました。今日では、電子回路をつなぐはんだや食品缶のめっきに欠かせません。また、ほかのどの元素よりも多くの安定同位体を持っています。
主な性質
| 原子番号 | 50 |
|---|---|
| 原子量 | 118.71 (CIAAW 2024 簡略標準原子量) |
| 分類 | ポスト遷移金属 |
| 族 | 14 |
| 周期 | 5 |
| ブロック | p |
| 状態(25 °C・1 atm) | 固体 |
| 融点 | 505.08 K (231.9 °C) |
| 沸点 | 2875 K (2601.8 °C) |
| 密度 | 7.287 g/cm³ |
| 電気陰性度(ポーリング) | 1.96 |
| 原子半径(ファンデルワールス) | 217 pm |
| 第一イオン化エネルギー | 7.344 eV |
| 電子親和力 | 1.2 eV |
| 酸化数 | +4, +2 |
| 発見 | 古代 |
電子配置
- 簡略表記
- [Kr]5s2 4d10 5p2
- 完全表記
- 1s2 2s2 2p6 3s2 3p6 3d10 4s2 4p6 4d10 5s2 5p2
- 電子殻ごとの電子数
- 2 · 8 · 18 · 18 · 4
軌道図(ボックス図)
周期表での位置
発見の歴史
スズは古代から知られていました。紀元前3000年ごろから、西アジアや地中海の人々はスズを銅と合金にして、武器や道具のための青銅をつくりました。銅より硬く鋳造しやすい青銅は、技術の進歩を後押ししました。
しかしスズの鉱石は少なく、遠くまで運んで取引する必要がありました。イギリス南西部のコーンウォール産のスズは古代に地中海まで届いていたと伝えられており、同地のスズ採掘は20世紀後半まで続きました。
近代には、スズでめっきした鋼板であるブリキが缶詰産業を可能にしました。20世紀半ばには、溶けたガラスを溶融スズの上に浮かべて完全に平らな板をつくるフロート法が開発されました。
名前の由来
英語の tin はゲルマン語に由来します。元素記号 Sn はラテン語の stannum から来ています。日本語の「スズ」は古くからの和語で、漢字では「錫」と書きます。
主な用途
- はんだ: スズ最大の用途です。EUが電子機器の鉛を規制して以来、スズに銀と銅を加えた鉛フリーはんだが標準になりました。
- ブリキ: 食品缶は、さびを防ぐために薄いスズの層でめっきした鋼でできています。
- 板ガラス: 窓ガラスやスマートフォンのカバーガラスの多くは、溶けたガラスを溶融スズの上に浮かべてつくられます。
- 合金: スズは青銅、ピューター、軸受用のバビットメタルに使われます。
- 化合物: 歯磨き粉に含まれるフッ化第一スズはむし歯予防に役立ち、有機スズ化合物はPVCを安定させます。かつて船底防汚塗料に使われたトリブチルスズは海洋生物に害を与え、国際条約で禁止されました。
同位体
スズには10個の安定同位体、スズ112、114、115、116、117、118、119、120、122、124があり、全元素の中で最も多い数です。これは陽子数50が原子核を特に安定にする「魔法数」だからです。最も多いのはスズ120です。スズ119はメスバウアー分光法に使われ、スズ126は半減期約23万年の核分裂生成物です。
身近なところで
スズは主にスズ石(酸化スズ)から取り出され、中国、インドネシア、ミャンマーが主要な産出国です。その取引が紛争地域の武装勢力の資金源になりうるため、タンタル、タングステン、金とともに「紛争鉱物」として規制されています。
金属スズや無機スズ化合物は毒性が低く、そのためスズは食品容器に使われていますが、一部の有機スズ化合物は強い毒性を持ちます。
純粋なスズを約13 °C以下に長く置くと、ゆっくりともろい灰色スズに変わります。この変化は「スズペスト」と呼ばれます。寒い場所で物が崩れたのはこのせいだとする話が数多くありますが、その多くは確かめられていない逸話です。
豆知識
- スズの棒を曲げると「スズ鳴き」と呼ばれるパチパチという音がします。結晶の双晶変形によるものです。
- 10個の安定同位体を持つスズは、全元素の中の記録保持者です。
- スズは約232 °Cで融けますが、沸点は約2,600 °Cです。
同じ族 (14)
データの出典 · 性質: PubChem Periodic Table(米国 NIH/NLM 公開データ)・原子量: CIAAW 2024 簡略標準原子量・名称: Wikidata(CC0)、韓国語名は大韓化学会の表記に準拠。2026-09-23 取得。