42Mo95.95

原子番号 42 · 遷移金属

モリブデン Mo

別名: Molybdenum

モリブデンは約2,600 °Cで融ける銀灰色の遷移金属です。鋼に加えると強度、耐食性、高温での性能が向上するため、ステンレス鋼や工具鋼に含まれています。植物、動物、人にとって必須の微量元素でもあり、細菌が空気中の窒素を固定する酵素の中心にも位置しています。

周期表で表示 →

主な性質

原子番号42
原子量95.95 (CIAAW 2024 簡略標準原子量)
分類遷移金属
6
周期5
ブロックd
状態(25 °C・1 atm)固体
融点2896 K (2622.8 °C)
沸点4912 K (4638.9 °C)
密度10.2 g/cm³
電気陰性度(ポーリング)2.16
原子半径(ファンデルワールス)209 pm
第一イオン化エネルギー7.092 eV
電子親和力0.746 eV
酸化数+6
発見1778

電子配置

簡略表記
[Kr]5s1 4d5
完全表記
1s2 2s2 2p6 3s2 3p6 3d10 4s2 4p6 4d5 5s1
電子殻ごとの電子数
2 · 8 · 18 · 13 · 1

軌道図(ボックス図)

1s2↑↓
2s2↑↓
2p6↑↓↑↓↑↓
3s2↑↓
3p6↑↓↑↓↑↓
3d10↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓
4s2↑↓
4p6↑↓↑↓↑↓
4d5
5s1

周期表での位置

発見の歴史

何世紀ものあいだ、やわらかい黒色の鉱物である輝水鉛鉱(二硫化モリブデン)は、見た目の似ている黒鉛や鉛鉱石と混同されていました。これらはすべて molybdaena などの名前でひとまとめにされていたのです。

1778年、スウェーデンの化学者カール・ヴィルヘルム・シェーレは輝水鉛鉱を硝酸で処理し、黒鉛でも鉛でもない新しい酸化物を得て、未知の元素が含まれていると結論しました。

シェーレの提案を受けて、ペーター・ヤコブ・イェルムが1781年にこの酸化物を炭素で還元し、金属を単離しました。20世紀初めにはモリブデン鋼が開発され、兵器や機械の分野で需要が急増しました。

名前の由来

名前はギリシャ語で「鉛」を意味する molybdos に由来し、鉛の鉱物と長く混同されていたことを物語っています。元素記号は Mo です。日本語で輝水鉛鉱という鉱物名に「鉛」の字が入っているのも、この混同の名残です。

主な用途

  • 合金鋼: モリブデンの大部分は鋼に使われます。316鋼のようにステンレス鋼に2〜3%加えると、海水中の塩化物による腐食への耐性が大きく高まります。高速度工具鋼やパイプライン用の鋼も強くします。
  • 潤滑剤: 二硫化モリブデンは層状構造ですべりやすく、高荷重・高温用の固体潤滑剤になります。
  • 触媒: モリブデン系触媒は、製油所で水素化脱硫によって原油から硫黄を取り除きます。
  • 電子機器と医療: マンモグラフィー用X線管のターゲット、ディスプレイの配線、高温炉の発熱体に使われます。モリブデン99は医療用テクネチウム99mの供給源です。

同位体

天然のモリブデンは7つの同位体、モリブデン92、94、95、96、97、98、100からなり、最も多いのはモリブデン98です。モリブデン100は非常に長い半減期で二重ベータ崩壊するため、実質的に安定です。

人工のモリブデン99は半減期が約66時間で、世界中の核医学を支えています。病院に出荷されるジェネレーターの中でモリブデン99は絶えずテクネチウム99mに崩壊し、スタッフは検査に必要なときにそれを取り出します。

身近なところで

モリブデンは輝水鉛鉱から得られます。モリブデン自体を目的に採掘されるほか、銅鉱山の副産物としても大量に回収されています。ステンレス製の台所用品、エンジンオイルの添加剤、切削工具で身近に接しています。

体内では、キサンチンオキシダーゼや亜硫酸オキシダーゼなどの酵素がモリブデンを必要とします。豆類、穀物、ナッツに多く含まれるため、欠乏はきわめてまれです。マメ科植物の根粒の細菌は、鉄とモリブデンを含む酵素ニトロゲナーゼを使って大気中の窒素をアンモニアに変えています。非常に大量にとると銅の代謝を妨げることがありますが、ふつうの食事なら問題ありません。

豆知識

  • モリブデンは約2,623 °Cで融け、全元素の中でも最も融点の高い部類に入ります。
  • ニトロゲナーゼの鉄モリブデン補因子は、生物圏全体の窒素循環を動かす一翼を担っています。
  • 世界のモリブデンの多くは銅鉱山の副産物です。

同じ族 (6)

データの出典 · 性質: PubChem Periodic Table(米国 NIH/NLM 公開データ)・原子量: CIAAW 2024 簡略標準原子量・名称: Wikidata(CC0)、韓国語名は大韓化学会の表記に準拠。2026-09-23 取得。